読了 リーン・スタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす

リーン・スタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだすを読了しました。2020 年読了本 29 冊目。

最初のまとめ

読み始めの動機

知り合いの合同会社を起業した人がめっちゃお勧めしてたため。また、起業 or ドベンチャーへの転職も考えていたため。

概要

トヨタ生産方式で無駄を省いたリーン生産方法というのがある。

その考え方を元にスタートアップで継続的なイノベーションを起こしていく手法がリーンスタートアップと呼ばれている。

スタートアップの定義

不確実な状態で新しいサービスを作り出そうとする組織。

この定義だとベンチャーはもちろん、大企業で新規事業を起こすような部署もスタートアップに含まれる。また、アントレプレナーは一般的には起業家を指すことが多いが、この本ではスタートアップに関わるすべての人をアントレプレナーと呼んでいる。(君もアントレプレナーだ!)

リーンスタートアップの 5 原則

最初のまとめにも書いたが、 5 原則は下記。本から引用する。

1. アントレプレナーはあらゆるところにいる
2. 起業とはマネジメントである
3. 検証による学び
4. 構築 - 計測 - 学習
5. 革新会計

アントレプレナーはあらゆるところにいる

先の定義にも書いたとおりスタートアップに関わる人はアントレプレナーのため、あらゆるところにいるのは間違いなさそうだ。

起業とはマネジメントである

おもしろい考えだと感じた。

実際にこういうモノやサービスを作ろう!と始めたベンチャーでも市場に出したら意外とニーズがない、ということは起こり得る。その際、当初考えたプロダクトに拘るとそのスタートアップは死ぬが、ピボットすることで新たな道を作り出せる。

そのため、スタートアップは何か新しいモノを作る組織ではなく、アントレプレナーをマネジメントし、経営すると考えるとこの考え方も納得感がある。

検証による学び

先に書いたことと通じるが、どうすれば持続可能な事業が構築できるのかを探り当てることが大事だ。当初のアイデアよりも、市場に出し、検証されたプロダクトのほうが持続可能なプロダクトである可能性は高い。

検証を無視して、勘と根性で突き進むと待っているのは死だ。

構築 - 計測 - 学習

アイデアをさらに作り込むか、ピボットするかは顧客の反応を計測し、学習する必要がある。このフィードバックループを回せるようスタートアップを調整しなければならない。

革新会計

ここはいまいち理解が進まなかったが、本から引用すると、次の 3 フェーズで進めていくとのこと。

1. MVP を作り、フィードバックを得る
2. 現状から理想状態になるようチューニング
3. ピボットするか辛抱するか

僕自身もベンチャーや新規事業を見てきたが、 3 のピボットするかどうかを判断ミスすることが多いように感じた。判断ミスし続けると、赤字を垂れ流し、中で働く人もつらい思いをする。

このフィードバックループもすばやく回す必要があるため、 MVP には時間をかけず、最短時間で作り上げ、チューニングを進め、冷静にピボットの判断が求められる。

感想

基本的には短期間でアウトプットを出し、計測して、さらに進むかピボットするかを高速でループするのが大事だと感じた。

読み始め当初は、ベンチャーへの転職を検討していたが、現在は大手への転職を決めている。大手だとリーンスタートアップで学んだことは役に立たないかというとそんなことはなく、新規事業もスタートアップの一種だ。次の会社でも学んだことを活かしていきたい。

少し長いが本から引用で、いいと思った文章を紹介する。

エンジニアの努力が足りないということだったが、問題はエンジニアではなく、社内の意思決定プロセスにあった。顧客はつかんでいたが、顧客を深くは理解できていなかった。顧客や社内の営業部隊、上層部から山のように機能の要望が出されていた。何か新しいことが判明するたび緊急事態とされ、早急な対応が求められた。そのため、長期プロジェクトには邪魔が入ってばかりだった。さらに、そうして実現した変更が顧客にとって意味があるのかないのかまったくわかっていなかった。チューニングや小さな改良をくり返しているにもかかわらず、事業成果はおもしろくないレベルにとどまっていた。

このような状態に陥っている会社は少なくないと感じる。今まで所属していた会社すべてで陥っているといっても過言ではない。

この状態はエンジニアにとっても、上層部にとってもおもしろくない状況だ。この状況を防ぐため、冷静な検査が求められる。

エンジニアが新しい技術だけをやっていたいと考えているというような偏見もまだまだ多いが、少なくとも僕の身の回りにそのような低い意識でエンジニアをやっている人はいない。エンジニアもビジネスに参加する意識を持っているため、顧客理解とともにエンジニアと経営層の相互理解がより一層必要になってくるだろう。

理解が進んだ会社だけが生き残れる

まとめ

スタートアップの本ということはベンチャーにいる社員とか起業家向けでしょ?みたいに思い込まず、大企業で新規事業を立ち上げるというような人にもお勧めの本だ。内容は長いが、やることは至ってシンプルなフィードバックループを回すという基本に忠実な印象がある。

ぜひ読んでみてほしい。