読了 オン・ザ・ロード

オン・ザ・ロードを読了しました。2020 年読了本 22 冊目。

最初のまとめ

主人公とその友人がアメリカ大陸を西へ東へあらゆる交通手段で旅をする本。アメリカ大陸は東西で約 4500km ほどあるが、地図に起こすととんでもない距離を爆走しているのがよく分かる。

読み始めの動機

キャッチャー・イン・ザ・ライと同じ理由で、 好きなバンドの amazarashi の『死んでるみたいに眠ってる』の歌詞にディーン・モリアーティの名前が出てたので。 また、『拒否オロジー』の歌詞にある、ミズーリを疾走する若き太陽熱の下りもオン・ザ・ロードから着想を得ていると思われる。

読了 キャッチャー・イン・ザ・ライ

概要

作者のジャック・ケルアック氏が実際に体験したことを登場人物の名前を変えて、小説にしたらしい。主人公のサル・パラダイスが、ディーン・モリアーティや時々やその地で出会った人たちと共にアメリカ大陸を西へ東へ奔走する小説。

感想

主人公のサルはうつうつとしつつも、思い立ってヒッチハイクでニューヨークからサンフランシスコまで行ったりする思い切りの良さは感じた。ただ、小説を書いてお金を稼いだりとそれなりに堅実な人物像。 対して、ディーン・モリアーティは一言でいうと狂っている。結婚と離婚を繰り返し、子どもをもうけても放置したり、物を盗み、後半はまともな会話らしい会話もできていない。破滅に向かっていっている。

どこから読んでもおもしろいと思うが、 1 部はディーン・モリアーティがあまり登場しないので、 2 部あたりから読んでもいいと思う。ただ、僕がこの本おもしろいと感じたのは 1 部でサルがヒッチハイク仲間を見つけて、いろいろと面倒を見ていたにもかかわらず、ヒッチハイクした車の運転手に一人しか乗せられないといわれて、その仲間はサルを見捨てて、車に乗って別れたあたりだった。

今まで、自転車やバイク、電車といろいろな交通手段で旅行に行きまくっていた僕には非常に刺さるおもしろい下りだと感じた。こんなやばいやつはなかなかお目にかかったことはないが、色んな人がいるよなっていうふうに思い出す。一緒にいた観光地を知らないおっさんと観光したり、お菓子やおにぎりをくれたおばあちゃん、どこの誰とも分からぬ学生と宿を共にして、一晩中話したりといろいろな旅の経験が頭をよぎった。あちこち旅行していた人にはお勧めの本だと思う。

アメリカの地理感がなく、どれくらい進んでいるのかまるで分からなかったが、白地図を買って、地図にだいたいの都市から都市への移動を蛍光ペンで書くととてつもない距離を移動していることが分かる。物語への没入感が上がるので、ぜひ白地図とペンを片手に読んでみてほしい。

旅の終点はメキシコ。メキシコで病気にかかったサルを見捨てて、ディーン・モリアーティはニューヨークの嫁のところへ行ってしまう。上の Tweet を見ると分かるとおり、メキシコはとてつもなく遠いところだ。そんなところに流感にかかった友人を置いていくというのはまっとうな人間にはできない所業だろう。ディーン・モリアーティは狂っている。

しかし、本の最後は病気から回復したサルがニューヨークで、ディーン・モリアーティを見捨てるところで終わってしまう。狂っているディーン・モリアーティと車を一緒にしたくないとサルの同行者にいわれ、サルはディーン・モリアーティを見捨てている。ディーン・モリアーティは狂っていて、ついには破滅してしまった。

死んでるみたいに眠ってる

肝心の amazarashi の『死んでるみたいに眠ってる』の理解度は上がった気がする。

ホールデンやディーン・モリアーティと言ったまっとうではない人物(ホールデンはただの思春期っぽい感じはある)になりたいと歌ってるあたり、この曲の登場人物はいわゆる普通の人。普通の人がうつうつとした気分で横たわっているからこそ、ホールデンやディーン・モリアーティのようになりたい、車を盗みたいといった破滅願望が生まれている。

ただ、破滅願望はあるが、何も実行できず、『死んでるみたいに眠ってる』んだろう

まとめ

旅の経験があったり、旅の本が好きなのであればぜひ読んでみてほしい本。オン・ザ・ロード自体の理解度を上げるためには当時のアメリカ文化などを詳しく理解する必要がありそうだ。