読了 キャッチャー・イン・ザ・ライ

キャッチャー・イン・ザ・ライを読了しました。2020 年読了本 15 冊目。

最初のまとめ

退学を食らって、主人公のホールデンがうらぶれた気分で街をさまよう。語り口調の独りごちが多いのが特徴的。

読み始めの動機

好きなバンドの amazarashi の『死んでるみたいに眠ってる』の歌詞にホールデンの名前が出てたので。

概要

サリンジャーの有名な小説。『ライ麦畑でつかまえて』のほうが題名としては有名だと思う。

感想

村上春樹氏の文章はどちらかというと苦手で、氏の『1Q84』を 100 ページくらいで挫折して以来、久々に触れた。あんまり書くとハルキストに怒られるけど、長々とセックスの描写をする割に話が進まなかったので、途中で読むのをあきらめ、それ以来苦手意識が強かった。とりあえず新しい方をで適当に買ってしまって、訳者が村上春樹氏か〜となったが、読み終えたのでよしとしよう。

内容としては、ホールデンが退学を食らい、寮の同室のやつの悪口をひたすらに独りごちして、寮を飛び出し、ホステルでも変なやつばかり。バーに行っても、デートをしても、頼りになる先生のもとに行っても、どいつもこいつもろくでなしのインチキといったような文句を言いつつも、少し人と離れるとさみしくなるといった若気の至りの塊のような印象だった。ただ、小さい子どもだけは好きらしく、悪いやつではない。

若い頃ならではの自分自身の内面の葛藤を描いているので、 20 年くらい前に読んでたらもっと共感できたかもしれない。題のキャッチャー・イン・ザ・ライにつながるホールデンの発言は、周りの大人はみんなクレイジーだけど、その中でも自分だけはちゃんとしているつもりで、純粋な子どもを守りたい・・・っていうことだろうか。ただ、ホールデンは、自分自身のことをおかしいとも認めてるので、ティーンエージャーならではの精神状態だと思う。

死んでるみたいに眠ってる

この本と『死んでるみたいに眠ってる』の歌詞のつながりはあんまり感じられなかったが、 amazarashi っぽい感性を感じた。特に『14歳』や『しらふ』の歌詞は親しい感性だと思う。

14歳の歌詞より引用。

ここがどこかなんて分からない 冷めた嘲笑が気に食わない
きっと明日もいいことが 起こると信じて疑わない そんな響きの声だから 僕らの胸は張り裂けた

周りのことを気に食わないといいつつ、いいことが起こると信じている人が裏切られそうなことを勝手に想像して、胸が張り裂けそうになるのはホールデンっぽい感覚。

しらふの歌詞より引用。

勇んで出てったはずのふるさとにまた立って もうここには居られねえ 自暴自棄な足取りで 分かったもう出てくよ

フラフラと街を徘徊しながら、誰も知らないところへ行こうと考えつつも、最後に愛しの妹のもとにあいさつしたい。あいさつしたらもう出ていくんだと自暴自棄になっていたホールデンと似ていると思った。

キャッチャー・イン・ザ・ライ自体は『死んでるみたいに眠ってる』だけでなく、 amazarashi の歌詞の解像度を上げてくれると感じたので読んでみてよかった。

まとめ

そういえば、僕も高校生くらいのときいろいろと嫌な気分になったら、学校をサボって自転車で普段行かないような隣の隣の隣町くらいまで行ってたのを思い出した。あのときと比べると、今は割と落ち着いたなあ。

次は『死んでるみたいに眠ってる』でホールデンとともに名前が出ている、ディーン・モリアーティが主人公のオン・ザ・ロードを読みます。

キャッチャー・イン・ザ・ライ