読了 スーパーエンジニアへの道―技術リーダーシップの人間学
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スーパーエンジニアへの道―技術リーダーシップの人間学を読了しました。2020 年読了本 37 冊目。
最初のまとめ
- リーダーの定義と具体的な行動、組織的な変革をもたらすまでの道のり
- リーダーシップは自分とは遠いもの、もしくは自分のリーダーシップの能力に疑問をいだいている人向けの本
- 新しいことをはじめると、効率が下がった後に上がる成長カーブが有名
読み始めの動機
リーダーシップについての記事や本などでよく引用されているため。
概要
題名にあるスーパーエンジニアとは、エンジニアとして知見がありつつ、ビジョンを持って組織変革をもたらすリーダーシップがあるエンジニアのこと
をスーパーエンジニアと指している。
こうして書くとたしかにスーパーエンジニアである。
この本ではめちゃくちゃな速さでコーディングしたり、かっこいいアーキテクチャを設計したりとか、そういう技術的なエンジニアのことを指していないので注意。
感想
よく引用されている成長カーブは参考になった。
他の部分は分かりづらいたとえ話が長々と展開されることが多々あったので、よくわからないときはすばやく次の章を読み始めることをお勧め。
成長カーブ
成長カーブとは、新しいことをはじめると、最初は谷間のように効率が落ち、その後、改善に見合う高効率状態で高原のように横ばいになるという曲線
のことだ。図で表すと次のようなカーブだ。
今までやっていた習慣を打ち破ろうとすると、たちはだかるのが最初の谷間だ。
本の中では、作者がピンボールで新しいパターンを試すと、いったんスコアが下がり、練習を繰り返すと、もともとのハイスコアよりさらに高いスコアが出せるという例を出している。実際にこのようなことは往々にして起こるし、身に覚えがある人も多いだろう。
僕はシューティングゲームを嗜むが、新しいパターンをはじめると慣れないことするのでスコアが下がる。ただ、慣れてくると以前よりハイスコアが出せるようになる。僕よりシューティングゲームが上手い人はこのサイクルが早い。ゲームに限らず、運動や家事の効率などでも同じようなことになるだろう。
ゲームや趣味の運動だったら別にどうってことはない。ただ、組織変革において、最初の谷間は変革を恐れる人にとっては変革を止めるための反論材料になる。
今まで使っていた非効率な運用フローやツール。改善をしようと新しい運用やツールを導入したら、最初はみんな戸惑って効率が下がるだろう。高い効率がもたらされるとわかっていても、組織において新しいことを始まらないのはこの谷間だけしか見えていないからだ。
成長カーブを認知することで、谷間を越え、高原を目指すという心構えができるようになる
。
ビジョン
先の成長カーブで、谷間を越える方法は書いていない。谷間を耐え忍び、高原へ抜けるのに必要なのは、ビジョンだ。
ビジョンは伝染性で、本から引用するとビジョンを持たない人は、他の人々に大した影響を及ぼさない
。ビジョンをもつことで、自分自身を動機づけし、他人を動機づけし、組織変革がもたされる。
リーダーかエンジニアか
リーダーやマネジメントになりたくないという人向けの章もあるが、その欲求をぐっとこらえてなぜリーダーやマネジメントに携わらなければならないのかの動機づけの理論がいまいち理解できなかった。ひとまず持論でつないでみる。
個人の考え方では、技術だけを追い求めるか、リーダーやマネジメントの技術を学ぶかを悩んだのであれば、リーダーやマネジメントの技術を学んだほうがいい
。技術だけを追い求めることができる人は、そもそもその疑問をいだかないからだ。
コンピュータの技術はとても早く進化している。対して、リーダーシップは 1900 年代から研究がされており、技術体系もある程度確立されている
。リーダーシップのあるエンジニアがいないと嘆いている人を見たことがあるだろうし、そもそもこの記事を読んでるあなた自身がそういう考えなのかもしれない。
リーダーシップのあるエンジニアがいないということは食いっぱぐれなく、普遍的に求められる能力ということだ。また、コンピュータの技術を覚えるのが難しくも楽しいように、リーダーシップの技術を覚えるのも同様に苦労と楽しさがある。
エンジニアを続けたいのではなく、エンジニアという安定した高原から離れたくなく、成長から目をそらしているだけではないか
自問してみてほしい。
たとえ話としてピンボールが得意な作者がピンボールが博物館にしまわれたら、ビデオゲームを学ぶ必要性に迫られるとあった。今の得意な領域から危険を冒して成長を自ら望むということだろうか。いわゆるコンフォートゾーンから抜け出せという話だ。
突然、谷に突き落とされる前に、自ら谷に足を踏み入れ、高原を目指してみるのはどうだろうか?
まとめ
技術者として順調にキャリアを積んできていた人が、さらに技術者として研鑽するのか、リーダーシップを磨いていくのかのキャリアの分かれ道に立ったときに読むとよい本。