読了 組織パターン

組織パターンを読了しました。2020 年読了本 39 冊目。

おことわり

この本を読むことを、僕はおすすめしていません。

最初のまとめ

読み始めの動機

認定スクラムマスターの講義をしてくれた講師がこの本を書いていたので。

概要

デザインパターンとは、建物の幾何学と部品間の関係を表すために使われている。

組織においても、組織デザインが行われると概念的な幾何学やチーム間の関係性が表れてくる。このようなパターンを組織パターンと呼び、著者が観測したパターンをいくつかの分類に分け、紹介している。

感想

ここ数年で読んだ中でもっとも読みづらい本だと感じた。なんとか最後まで読み切ったが、得られたものはない・・・

読みづらい本とは何か?

2つのパターンがある。

  1. その本を読むための知識が不足している
  2. 説明が不足している

1 はたとえば、中学数学をまったく理解しないで、高校数学の教科書を読もうとすれば起こりうる。これは前提の知識量が不足しているためで、読者側が読もうとしている本の選択を誤っている。

2 は下記に説明を続ける。

なぜ読みづらいか

組織において表れる人間の性質や、チーム間の関係性などを著者がパターン言語としているが、パターン言語と内容の一致を理解するのが非常に難解なため。

最初に出てくるパターン言語は信頼で結ばれた共同体だ。信頼で結ばれた共同体とは何を指しているかを理解しようとするが、説明の中でさらに説明がされていない別のパターン言語が使用されている。 1 つや 2 つであればともかく、相当な数が引用されており、これが理解を阻む。

信頼で結ばれた共同体のパターン言語内で、引用されているパターン言語は次の通り。

  1. プロジェクトマネジメントのためのパターン言語
  2. スケジュールを小分けにする
  3. 組織の漸進的成長のためのパターン言語
  4. 組織を細かくする
  5. ロールは少なく
  6. 組織スタイルのためのパターン言語
  7. 人とコードのMT直江パターン言語
  8. アーキテクトがプロダクトをコントロールする
  9. 目的の統一
  10. パトロン
  11. 防火壁
  12. 開発者がプロセスをコントロールする
  13. 複数の責務が関与する

1 つのパターン言語を理解するために、先に挙げた 13 (!!)のパターン言語を理解する必要がある。上記パターン言語がさらに別のパターン言語を引用していたりするため、いつまで経っても理解が進まない。(確認していないが、循環参照している用語もありそう)

スケジュールを細かくする組織を細かくするなど、なんとなく理解できそうなものもあるが、防火壁は初見では意味不明だ。防火壁の説明にはさらに、門番(?)といった独特なパターン言語が引用されている。

たとえば、コンウェイの法則やピーターの法則といった、一般的な組織論でよく言われる定義を知らないのであれば、僕の知識量不足だ。しかし、この本だけでしか使われていない独自のパターン言語が使われているため、当然知る由もない。知ろうとしても、さらに別の知らない用語が独特の単語で紹介されるため、一向に理解が進まない。

このような内容が延々と 400 ページ以上に渡って展開される。 1 回読んだだけでは理解ができない。複数回読むことによって理解ができると思うが、この本で使われているパターン言語を引用している本は見たことがない。

仮に複数回の読了により、この本を完全に理解しても、他者にたとえとして使うのは不可能である。なぜなら、他の人はこの本にある用語を知らないし、理解するにはこの本を何度も読む必要があるからだ。

そのため、僕はこの本から何も得られなかったという感想をいだいた。

まとめ

誰にもおすすめしません。そのため、アフィリエイトリンクも貼りません。買うなら自己責任で。

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